視覚障害者の仕事
そもそもが、視覚障害者の学校(盲学校)でも取る資格をなぜ大学で取るのか
先日、ある学生に、
「視覚障害者の人でもとれる鍼灸の資格を、なんで取ろうと思ったの?」
と聞くと、逆に
「え!鍼灸師って視覚障害のある人でもできるんですか?」
と言われて、ビックリ!
「はり灸・スポーツトレーナー学科」にした弊害か。
そもそも、自分がなる鍼灸師というものがどのような資格か知らずに入ってくる学生が年々増えてきている。
なぜ、この情報社会で、このようなことになるのか分からないが、あまり考えずに生きていけるようになったのだろうか。
大学と専門学校の違い
それはさておき、晴眼者(普通に目が見える人のことをそういう)が鍼灸師になろうと思うと、3年以上の養成学校を卒業する必要がある。この養成学校には、大学(4年制)と専門学校(3年制)がある。昔は、短期大学(3年制)があったが、現在の日本には存在しない。
では、鍼灸の大学と専門学校の違いは、なんだろうか?
- 年数
これについては、すでに書いたとおり、3年と4年という点で、大学の方が長く行かなくてはいけない。それだけ、大変だと思う。
- 学費
これも、年数に比例し、より高くなる。また、そもそも、大学の方が施設費なども高く、専門学校より高くなるのが相場である。
ここまで考えると、専門学校の方が有利なのではないだろうか?
- 内容(一般教養の有無・取れる資格の数)
専門学校では、一般教養はやらないというが、本当だろうか?本学の母体である専門学校では、英語の授業もあるし、経済学もある。また、専門学校にもよるが、あん摩マッサージ指圧師の資格も取れることから、大学より、有利ではないだろうか?
ATの資格をみんな取れるのであれば、それは有利かも知れないが、全員ではない上、ATは民間資格である。国家資格である「あん摩・マッサージ・指圧師」を追加できるのであれば、専門学校の方が有利だったと後悔しないだろうか?
次によく言われる、大卒と専門学校卒での違いに、学士と専門士の違いがある。
面談で、なぜ大学だったのかを聞くと、
「親(高校の先生)が、大学を出ておくと有利と言ったから」
という。何が有利なんだろう。
一般の企業への就職であれば別である。と過去には入れてていた。今でも学歴社会の格差があるといわれる。
でも、鍼灸院や整骨院に務めるとき、大卒の鍼灸師と専門学校の鍼灸師で違いを求めると思うのだろうか?
免許の有無は有用である。ただ、免許状に卒業学校まで書かない。
また、施術者がどのような学歴かをわざわざ見て受診する人は皆無に等しいと思う。
こういう学生には、聞いてみる。
「あなたがおなかが痛い時、『そうだ!この先生は京大出身だ!受診しよう。』といって、整形外科を受診しますか?」って。
自分が患者の立場に立つと、その無意味さがわかるのである。
では、どっちが得?
そんなのは分からない。ただ、3年勉強して、1年臨床経験を積めば、ただ、卒業しただけの大卒の鍼灸師よりは有利なのは確かである。しかし、4年いることを利用して、より技術を学んだり、より知識を得ていた場合は、専門学校卒にはない、大きな力となるのである。
せっかく、大学に来たのなら、「失敗した!」と思うより、今できることを精一杯やったらどうだろう。
それが、ATの人もいれば、それを諦めたり、そもそも興味が無いのであれば、治療技術でも良いと思う。あるいは、大卒を利用して一般企業を目指すのもありだと思う。ただし、一般大学と違うため、学べることは偏っている。それを利点にかけられる場合はありだと思う。
様々な先輩が、それぞれの道に進んでいる。
鍼灸師になるしか道がないのではなく、鍼灸師を持った上で、別の道を考えるのもありだと思うし、鍼灸の道を究める、施術者を極めるのもありだと思う。
そもそも、どれもできないのであれば、早く道を変えるのもありだと私は考えている。時間は過ぎていく一方で、お金もかかる。もったいないだけである。
これを読んでいる学生さんたちは、どのように考えるのだろう。
その手助けぐらいは、できる教員になりたいと思っている。